2019年9月22日に、京都市北文化会館ホールにて、「王永徳老師に学ぶ中国音楽と二胡の基礎」が開催され、全4回にわたった本シリーズは無事完結となりました。
王永徳先生、そして、これまで受講してくださったみなさま、本当にありがとうございました。
 

 
上海音楽学院教授の王永徳先生に京都で講座を開いてもらおうと、2011年に王永徳先生招聘委員会は結成されました。
2016年に「王永徳老師に学ぶ中国音楽と二胡の基礎」と題してからは、よりたくさんの方に聞いていただけるよう、広く聴講者を募集するようになりました。
それまで一聴講者だった私も、その年から招聘委員会の一員として一年の多くの時間を注ぎ込んできました。
 
2016年の講義で初めて、二胡独奏曲の発展の歴史を教えていただきました。
二胡の講義で、二胡を持たない座学の形式というのは、日本においてはとても珍しいものだったと思います。
二胡が生まれ、育まれた土壌について、その土地の気候や生活様式、地理などの面からも解説され、まさに上海で生まれ育った王先生だからこそできるお話を聞かせていただきました。
好評を得て、翌2017年には東京でも開催されました。
 

 
20世紀初頭の劉天華から始まった二胡独奏曲の歴史の時間軸を、王先生は四つの時期に分け、初創期、発展期、興旺期、探索期と、このように命名されました。
実は、1回で終わる予定だった歴史のお話ですが、あまりにも壮大な内容だったため、最初の年は初創期だけで終わってしまいました。
2017年以降はシリーズ化して、1年ごとに発展期、興旺期と取り上げていくことになりました。
 
そして迎えた2019年、最後の探索期です。
探索期には、日本ではあまり知られていない名曲もたくさんあります。
2000年代以降に生まれた探索期の曲は、そもそも演奏技術が追いつかず、また演奏時間も長く、日本ではあまり演奏される機会がありません。
 
この壁を破るべく、この日のために上海の王先生の元まで直々に習いに行かれたという、二胡・笛子・ピアノトリオによる「喬家大院-愛情」が披露されました。
私が言うのも恐縮ですが、各演奏者は音楽に自身を全投入し、お互いに細やかな息づかいをやりとりされた素晴らしい演奏で、王先生も絶賛されました。
 
また、これまでの総復習として、初創期からの曲を歴史順に、皆で演奏しました。
ここ100年の間に急速に発展してきた二胡なので、同じように本当に駆け足で振り返ることとなりましたが、それぞれの時代の違いがはっきりとわかり、これから曲を学習していく上での指標を得ることができたと思います。
 

最後の回をこのように大きな舞台で、皆で演奏でき、本当に感慨深いものがありました。
王先生も記念に舞台上の皆さんの写真を撮られている、、、、かと思いきや、
実は抜き打ちチェックで、舞台で演奏する皆さんの椅子の座り方をスマホで撮り、「君、足を広げすぎだよ!」という具合に指導をされていました。
芸術は見た目も大事とのこと!恐れ入りました。
 
なお、今回のイベントレポートを、二胡専門誌『二胡之友』2019.Winter第60号に掲載していただくことになりました。
ぜひぜひお手にとってご覧ください♪
 
〜『二胡之友』のご案内〜
お得な定期購入は二胡之友ホームページから、単冊はうめもと二胡駒工房オンラインショップでお求めいただけます。
 
さて、これから一大事業が始まります。
4年にわたって開催されたこの講座を1冊の本にまとめて、出版することになりました。
王先生の言葉をすべて文字起こしし、日本語へ翻訳。私は微力ながら、装丁を担当させて頂きます。
日本人にもわかりやすいよう脚注や新たに撮り下ろしした写真を加えて、後世に残る歴史資料とするべく、王永徳先生招聘委員会メンバー一同頑張ります。
完成した暁には、ぜひたくさんの方に手にとっていただきたく思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

王先生の演奏姿が目に焼き付いています。
王先生、ありがとうございました!
 
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ファンシャオ二胡
風韶 FENG SHAO NIKO | 大山崎・高槻・嵐山・御所西 | 澤田雅子
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