3日目 2016年7月10日(日)
朝食は7時から昨日の食堂で。
この部屋も慣れるのに2〜3日かかったけど、一人部屋だったので、サバイバル気分で自由にできてよかったです。
まず部屋の入り口の扉に、直径5cmほどの穴があいていました。
部屋の中が丸見えなので、中から紙を貼りました。
掃除用具やゴミ袋や新品のバケツも用意してくれていたので、洗濯もできました。
シャワー室。お湯の出る時間は16:50〜18:00、20:40〜22:00と決まっています。
いつでも飲める飲料用のお湯は廊下にあります。
部屋に置いてあった中国製ベープマットのようなものは念のため使わず、使い慣れた蚊取り線香を焚いておきました。
夜中切らした瞬間蚊にさされて目が覚めました。必需品です。
自宅に本体を置いてきたので、立たせる軸がなくて、苦肉の策。
昨晩は、地元の男子学生が同じ寮に泊まっていて、上半身裸でうろつき騒いでいて困りました。
廊下に張り出された私たちの部屋割り表を見つけて、私の名前を見たのか「日本人がいる!」と言ってまた騒ぎだして困りました。
何が面白いのか「リーベンレン(日本人)、リーベンレン(日本人)」とずっと言っている。
部屋のドアを叩いてちょっかいを出しにきました。無視してたら飽きたっぽい。
あともうひとつ不具合は、部屋にカーテンがなかったこと。
余っていた掛け布団で即席カーテンを作りました。
向かいの寮の廊下から部屋が丸見えになって落ち着かなかったけど、とりあえずあの男子学生たちが滞在するのは昨日と今日だけらしいので安心しました。
宿舎長が作ってくれた注意事項。
設備が使える時間や、この2日間学生が泊まるのでご不便をおかけするかもしれないと、ご丁寧に書いてくれてます。
さて、朝食後は9時からいよいよ開会式です。
王永徳老師をはじめ各先生方と、合宿の場所を提供してくれている余姚高風中学校校長、宿舎長からお言葉をいただきました。
ここで、陳耀星老師は台風の影響で来られなくなったと伝えられました。
今日から遅れて合流された高韶青老師も登場。本物だ・・・と思ってドキドキ。
班分けされ、私は5班になりました。
この表の中に未来の二胡演奏家がいるのだと思うと、それだけですごい合宿です。
同じ班になったちびっ子たちと、部屋どこだー?と言いながらうろうろしていると、本日最初の老師がやってきました。
呉旭東老師です。
誰がどんな内容のレッスンをしてくれるのかは全く知らされていないため、呉旭東老師を見たちびっ子たちが段老師がよかったーと残念がっています。
無邪気です。
私も知らない老師だったのですが、長弓練習をたっぷりやってもらえて大変為になりました。
そもそも、弓の持ち方がいまだにしっくりこなくて、手からずれ落ちないよう力が入ってしまうので、基礎の基礎からやってもらえるのが今の私には一番よかったです。
5人で同時に弾くのと、一人ずつ弾いてチェックしてもらうのと、グループレッスンの進め方も参考になりました。
これまでグループレッスンというのを受けたことがなく、すべて個人レッスンだったので、グループレッスンでもこれだけ濃い時間にできるのだという驚き。
親指に力が入っている、と呉旭東老師に指摘され、それから後のすべての老師にも指摘されました。
それと、今まであまり意識してなかったのですが、アップダウンで親指がくっきりぱっきり屈伸運動をしているという発見。
それから、以前日本で習った親指を傾けて面ではなく点で押さえるやり方、ここに来てぴーんと1本の線でつながりました。
演奏はスポーツ。
体の動きをどう細かくコントロールするかということに尽きると思います。
今疑問に思っているのは、脳から指先までABCDEとつながっているとすると、Eにある動作をさせたいと思ったとする、同じ結果にたどり着くためのルートは1つではないんじゃないかということです。
Eを動かすためにABCDを意識的にコントロールするやり方と、Eが結果的に動くためにAを強く動かしてBCDもついでに動いてEがほどよく動くやり方、ABCDの動きを最小限にしてEを直接動かすやり方、結果が同じでも中身が全く違うことになってしまいます。
指導する先生によって表現の仕方ややり方が違うのはそのためなのかと、合宿に来てみて思いました。
呉旭東老師のレッスンは11:30に終わって、すぐに昼食に食堂へ向かいました。
基本的に合宿中は広い敷地内から外へ出ることはありません。
レッスン部屋か、食堂か、宿舎か、あとは11:00から12:30までしか開いてない売店。ジュースやお菓子をたまに買うくらいです。
ここでも文具が売っていて、ざらざらの紙のメモパッドを購入しました。
午後は15:00〜17:30がレッスンなので、12:00くらいに昼食が終わってからは、練習する時間やお昼寝する時間もあります。
ベッドの上で、練習したり、昼寝したり、お菓子食べたり、案外ダラダラしてすぐに時間が経ってしまいます。
本日の午後のレッスンは、劉捷老師でした。
さっきの呉旭東老師は明らかに私よりも若くてファッショナブルな老師でしたが、劉捷老師はいかにも中年という感じの雰囲気の老師でした。
中国人の名前は男か女か判別が難しいので念のため言っておくと、二人とも男の先生です。
レッスンはまた長弓練習で、できていないことに対してはっきりと指摘してくださります。私は例の親指。
一人ずつ長弓を弾いてチェックをされるのですが、「プートゥイ(違う)、プートゥイ(違う)、プートゥイ(違う)、プートゥイ(違う)、トゥイ!(そう!)」できた瞬間にまたそれも伝えてくれて、これはすごくいいことだと思いました。
指導する側が、こんなものでいいかと妥協してしまった段階で成長がストップしてしまう恐ろしさも感じました。
違うと言うのはものすごくエネルギーのいることですが、言ってもらえるありがたさが身にしみました。
自分が日本でレッスンを受けるときは、できないからレッスンを受けてるのはわかっていても、できない事実を突きつけられる1時間、物理的に無理なことに向き合う1時間、調子が悪く気持ちが乗らない時はもう泣きそうです。
それでも、レッスンを受けられることがありがたく、めげずにちびちび続けて、いつのまにか気づいたら少しできるようになってた、という繰り返しです。
いろんな先生に習うと、意外なところで理解がつながって、前進するきかっけになるものだと、今年はしみじみ思います。
今年の最初のきっかけは6月に受講した甘建民老師のレクチャーです。
そういえばこのときも、甘建民老師に親指を触ってごらんと言われ、ほら、力入ってないでしょ、と言われたのですが、動いている親指の動きに合わせて触るので精一杯で、親指に力が入っていないことはあまりよくわからなかったのでした。
内弦のときに手前に手首を傾けて接弦時に三角の隙間を作ることとか、弓の左端は力が弱くならないよう右手で力を入れてコントロールしていることとか、見た目にあまりわからない微調整をしているというのがわかったことが収穫でした。
普通の人でも、雑音が出ないように無意識に微調整をしているけど、それを言語化できるとより理解が深まるのだと思います。
劉捷老師はレッスン中は厳しいけど、休憩時間になると、自分のかっこいい動画を見せてくれる可愛い先生でした。
二胡指導だけでなく、オーケストラの指揮もやっているそうで、ちびっ子たちにタキシード姿で指揮棒を振っている動画を見せて、かっこいいだろと自慢していました。
レッスンが終わったらすぐに夕食です。
食事の内容は似たような、でも新しいのもあり、品数があるので毎日食べても全く飽きないものでした。
白飯があるのがありがたい。
夜は長いので、休憩したり、練習したり。
毎日三食、規則正しい生活で、二胡弾いて、ご飯を食べて、シャワーを浴びること以外は何もしなくていい生活。
永遠に続いて欲しいと思ってしまった。
– – – – – – – – – – – – – – – – – –
風韶 二胡教室
FENG SHAO | 嵐山・大山崎・高槻 | 澤田雅子
京都・大阪